VINTAGE ALOHA SHIRT BRANDS – “PALI HAWAIIAN STYLE”

TEXT：　サンサーフ企画総括・アロハシャツ研究家中野喜啓（YOSHIHIRO NAKANO）

ヴィンテージアロハシャツのブランド紹介 – 「パリ・ハワイアン・スタイル」

日本製のプリント生地は、アロハシャツの歴史に大きく関わってきた。その生産に直接携わった人物がイサム・タカブキという名の日系人である。彼は二重国籍であることを利用してハワイと日本を行き来し、戦後すぐにアロハ貿易という会社を設立。京都で古い学校の校舎を買い取り、生地のプリントを始める。一方、ハワイではヴィクトリー・インポートという商社を興し、日本から生地を輸入していた。その後、タカブキの娘を妻にもつクラレンス・ハラが1957年にフジ・インポート社を設立し、アロハ貿易の手掛けた日本製のアロハシャツを、ハワイ経由でカリフォルニアに輸入し販売していた。この時期に扱っていたのが〈パリ・ハワイアン・スタイル〉と〈カイマナ・ハワイアン・スタイル〉の2ブランドである。同ブランドの製品は、フジエットや壁縮緬のレーヨンに明るい色目のハワイ柄をプリントしたものが多く、和柄はごくわずか。また日本製のものとハワイ製のものが混在しているが、おそらくヴィクトリー・インポート時代に付き合いのあったハワイの工場など、複数社で縫製されていたためであろう。1960年に入ると社名をミスター・ハワイ、ブランド名を〈ゴー・ベアフット〉に改め、以降は商品すべてをカリフォルニアで生産するようになる。