VINTAGE ALOHA SHIRT BRANDS – “LAUHALA”

TEXT：　サンサーフ企画総括・アロハシャツ研究家中野喜啓（YOSHIHIRO NAKANO）

ヴィンテージアロハシャツのブランド紹介 – 「ラウハラ」

〈ラウハラ〉は、中国系アメリカ人エン・チョン・チンと妻のアルマのチン夫妻が、日系人ハロルド・オーニシと共に1944年頃設立したラウハラ・セールス社が展開していたブランド。同社はチャイナタウンに近いフォート通り1186番地というホノルルの中心地に店を構えていた。キロハナ・ディストリビューターズ社と同様に家族経営の小さな会社だったようで、設立当初は社名にある「ラウハラ」と呼ばれるハラ（タコノキの一種）の葉を編んで作ったハンドバッグやテーブルマットなどを製造していた。その後、オーニシがヨーロッパ戦線に行ってしまうと、チン夫妻はオアフ島で軍服などの軍用品販売を始める。アロハシャツの生産を開始したのは戦後。1953年に社名をラウハラ・スポーツウェア社に変更した。〈ラウハラ〉ブランドの作品は、抜染プリントによってビビッドで色鮮やかな柄を表現したものが多い。植物やハワイの風物のように比較的観光客が好みそうなモチーフが頻繁に使われているのも特徴だ。逆に和柄などオリエンタル・デザインの柄は少なく、レーヨン壁縮緬の生地もほとんど使われていない。このことから使用する生地は、日本よりも米国本土のプリントメーカーから多く調達していたと推測される。